講評(環境の観点から)


三島次郎先生

三島次郎 氏(桜美林大学 名誉教授)

生きものの声を聞く力 自然の働きを見る力

 私は、各受賞校・園の事例を拝見し、ビオトープの生きものに代わり、皆さまに御礼を申し上げたいと思います。ただ、私が言うまでもなく、受賞校・園の皆さんは生きものの言葉無き声を既に耳にされているかもしれません。これはビオトープと付き合っていく上で、とても大切なことです。生きものの言葉を耳にするためには、たくさんの生きものが生き、たくさんの時間の流れ、移り変わりながら現代に至る「自然」をよく知る必要があります。

 幼稚園や保育所から大学に至るまでさまざまな発達段階があり、異なりはあるとは思いますが、見えない自然の働きを見る目を持つことも大切です。見えないものは見えるはずがないと、思う方がおられるかもしれません。例えば、1本の草がどれくらい水を蒸発させているか、酸素を作り出しているか、実験する方法はいろいろとあります。感じること以外にも、そうした実験を通じても見えない自然の働きを知る方法があると思います。

 自然についての理解を深めていけばいくほど、そこに本当の学習の面白さが見えてきます。例えば田んぼとトンボ。このたびのコンクールでもトンボのために田んぼをつくった事例を幾つか拝見しました。トンボが生きていくためには虫がいなければなりません。その虫がたくさんいると稲はうまく育ちません。トンボから見れば、田んぼには虫がたくさんいた方が良い。私たち人間からすれば、田んぼに虫は1匹もいない方が良い。さて、私たちはどのような田んぼをつくったらいいのでしょう?

 私たちはいろいろな場面で自然との付き合い方を考えることが求められています。幼児から大学生に至るまで、聞こえない生きものの声、見えない自然の働きを感じる力を、学校・園庭ビオトープを通じて、引き続き培っていただきたいと思います。

 

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